さすが、名探偵です

テーマ:ショートショート
 
応接室に容疑者を集めて、
田中先輩は「さて」と言った。
「この中に犯人がいます。

今から私が推理を話しますが、
その前に自分が犯人だという人がいたら名乗り出てください」
僕はその場の人たちを見た。

まさか犯人が名乗り出るなんてありえな…、
おいっ、神崎さん、手をあげようとしてるよ、
しかも、なんか暗い顔してるし。

僕は山本先輩に目配せすると、
「あー」と大声を出した。
その場の人々の視線は僕に集まった。

引用元:「日曜は勝手にショートショート」

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その間に山本先輩は神崎さんのそばに行って手を抑えた。
「すみません、大事なことに気が付いたので」
田中先輩はいいところで邪魔されたのにむっとした様子で
僕をにらんだ。

「なんだ、大事なことって」
「えーっと、えっと、犯人はこの中にいます」
「それ、今俺が言った。邪魔するな」
「すみません」
僕は謝ると、山本先輩を見た。

山本先輩は神崎さんともつれあっている。
田中先輩、今のうちに犯人を指摘しちゃってください~。
「このドアの特殊な鍵の開け方を知っていたのは、
古木さん、神崎さん、高畠さん、そして吉田さんの4人。

それ以外の人は知らなかったので、犯人ではありません」
神崎さんの手があがりつつある。山本先輩、がんばって押さえて。
「その中で左利きなのは、古木さん、神崎さんの2人」
山本先輩がもちなおして、神崎さんの手が下がる。

「そしてあの凶器を使うことができたのは、あなただけだ、
古木さん!」
えっ、そこで古木さんを指名するの。

僕は大きく咳払いして「ではなくて」
田中先輩はきょとんとした顔をして僕の言葉を繰り返した
「ではなくて」
僕はささやいた。「神崎さん」
「神崎さん」と田中先輩は繰り返した。

山本先輩は神崎さんの手をはなした。
神崎さんはいきおいよく手をあげた。
「そうだ、私が犯人だ。あいつは…」
それから30分犯人の独白は続いた…。

田中先輩、さすが名探偵です。


携帯

テーマ:ショートショート
 
世界は携帯でつなかっている。
でも私は携帯を持っていない。
両親は私には携帯を持たせてくれないのだ。

友達は皆、持っているのに、両親はまだ早いからと買ってくれない。
私一人友達とつながれず、孤独を感じているのに。
一体いくつになったら携帯を買ってくれるの?
ねえ、お母さん、お父さん、
いつになったら持たせてくれるの?


「かわいいでちゅね~」
「お母さん、翔に赤ちゃん言葉で話しかけないで」
「赤ちゃんだから。でも翔ちゃん、何か訴えるような目で見てるわよ」
「お腹すいたのかなあ」

「携帯、見てるわね」

引用元:「日曜は勝手にショートショート」

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