殺人の動機
テーマ:ショートショート
取調室にて。
二人の刑事が殺人犯に尋問している。
「どうして彼を殺したんだ。世界的な名優の彼を殺して、優秀なSPが守っていたのに逃げおおせると思ったのか」
「………」
殺人犯は無言のままうつむいている。
「その前にアイドルのを殺してるな」
「………」
「彼女はアイドルグループの人気者だったのに。たくさんの人々が見ている中で人を殺している。お前がやったという目撃証言は多いぞ」
「………」
殺人犯は無言のまま、うつむいている。
刑事は尋問を続けた。
二人の刑事が殺人犯に尋問している。
「どうして彼を殺したんだ。世界的な名優の彼を殺して、優秀なSPが守っていたのに逃げおおせると思ったのか」
「………」
殺人犯は無言のままうつむいている。
「その前にアイドルのを殺してるな」
「………」
「彼女はアイドルグループの人気者だったのに。たくさんの人々が見ている中で人を殺している。お前がやったという目撃証言は多いぞ」
「………」
殺人犯は無言のまま、うつむいている。
刑事は尋問を続けた。
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「彼女の前にも殺人を犯しているな。S川の河原でホームレスの男を殺しただろう。彼女を刺したナイフからその男の血も検出された。同じ凶器を使ったんだな」
「………」
殺人犯は微動だにしない。
「通り魔もしてるな。人相書きやビデオカメラの映像がお前と一致した。幸い襲われた女子大生、OL、サラリーマンは無事だったが」
「………」
「女子大生、OL、サラリーマン、ホームレス、アイドル、世界的な俳優、それぞれまるでつながりがない。どうして彼らを殺そうとした? 殺した?」
「………」
無反応な殺人犯に今まで黙っていたもう一人の刑事は机を叩いた。
「何とか言ったらどうなんだ。なぜ殺した?」
殺人犯は顔をあげて刑事を見た。
「私は死刑になりますか」
刑事は突然殺人犯の視線を受けて少し動揺した。
「さ、さあ、それは裁判によるが、三人も殺せば、あっ」
刑事はひらめいた様子で、
「それが動機か。死刑になりたくて人を何人も殺したんだな!」
殺人犯はびっくりしたような顔をしたが、やがて破顔した。
「ははははははは」
「な、なんだ、何がおかしい」
殺人犯はピタリと笑やむと「おかしいのはこの国です。わたしはこの国を救いたくて、殺したんです」
刑事は「ど、どういう意味だ」
「通り魔は殺人の練習。でもなかなか殺せませんでした。でホームレスを殺してみたら殺せました。人がたくさんいる中で殺せるか、試したら、ビビらずにアイドルを殺せました。そしてSPを出しぬいて要人を殺せるか、試したら殺せました。しかし捕まってしまいました。わたしは死刑になります。この国を救う前にゲームオーバーになってしまいました」
「何を言ってるんだ? 殺人の練習だったのか」
「そうです。練習をして最後にたくさん人がいる中でビビらずにSPに守られた総統を殺す、それがわたしの最終目的だったのです。この国を救うには勝手なことをしている総統を殺さねばなりません。そのために練習を重ねたのです」
「ば、ばかな。狂ってる」
「狂ってるのはこの国です」殺人鬼はさめた目で刑事を見つめていた。
「いや、お前だよ。だいいちお前が総統を殺してもこの国は全く変わらない」
「…そう、ですか?」
「そうさ」
「…ジーバン帝国を変えたかったんです」
殺人鬼の目はさめていたが、澄んでいた。
●引用元:「日曜は勝手にショートショート」
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「………」
殺人犯は微動だにしない。
「通り魔もしてるな。人相書きやビデオカメラの映像がお前と一致した。幸い襲われた女子大生、OL、サラリーマンは無事だったが」
「………」
「女子大生、OL、サラリーマン、ホームレス、アイドル、世界的な俳優、それぞれまるでつながりがない。どうして彼らを殺そうとした? 殺した?」
「………」
無反応な殺人犯に今まで黙っていたもう一人の刑事は机を叩いた。
「何とか言ったらどうなんだ。なぜ殺した?」
殺人犯は顔をあげて刑事を見た。
「私は死刑になりますか」
刑事は突然殺人犯の視線を受けて少し動揺した。
「さ、さあ、それは裁判によるが、三人も殺せば、あっ」
刑事はひらめいた様子で、
「それが動機か。死刑になりたくて人を何人も殺したんだな!」
殺人犯はびっくりしたような顔をしたが、やがて破顔した。
「ははははははは」
「な、なんだ、何がおかしい」
殺人犯はピタリと笑やむと「おかしいのはこの国です。わたしはこの国を救いたくて、殺したんです」
刑事は「ど、どういう意味だ」
「通り魔は殺人の練習。でもなかなか殺せませんでした。でホームレスを殺してみたら殺せました。人がたくさんいる中で殺せるか、試したら、ビビらずにアイドルを殺せました。そしてSPを出しぬいて要人を殺せるか、試したら殺せました。しかし捕まってしまいました。わたしは死刑になります。この国を救う前にゲームオーバーになってしまいました」
「何を言ってるんだ? 殺人の練習だったのか」
「そうです。練習をして最後にたくさん人がいる中でビビらずにSPに守られた総統を殺す、それがわたしの最終目的だったのです。この国を救うには勝手なことをしている総統を殺さねばなりません。そのために練習を重ねたのです」
「ば、ばかな。狂ってる」
「狂ってるのはこの国です」殺人鬼はさめた目で刑事を見つめていた。
「いや、お前だよ。だいいちお前が総統を殺してもこの国は全く変わらない」
「…そう、ですか?」
「そうさ」
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殺人鬼の目はさめていたが、澄んでいた。
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