さらば名探偵
テーマ:ショートショート
「さて」とマンションの一室に容疑者を4人集めて、私は言った。
「犯人はこの中にいます!」
私は名探偵。
これから華麗な推理を披露して、
この中から犯人を指摘する。
まさにこれから大団円なのだ。
「死体の殴られた位置関係から、犯人は右利きだと推理できました。
そこで奥さんは左利きなので除外できます。
また犯人の身長も170以上と推理できたので、
娘さんも除外できます。
そして残された爪楊枝から犯人は息子のあなたしかいない!」
決まった!
●引用元:「日曜は勝手にショートショート」
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私の指摘に犯人の息子はがっくりと肩を落として…
「証拠はどこにある!」
いや、肩を落としていない。むしろ胸を張って私を睨みつけている。
「私の推理に間違いはな…」
「だから推理はいいんだ。俺が犯人だという証拠を見せろ」
私の華麗な推理に抵抗するとは愚かな奴だ。
「だからこの爪楊枝が」
「それから俺のDNAが検出されたとして、だから俺が父を殺した証拠にはならないだろ。いつ落としたかもわからない」
「この部屋は掃除されていました」
「見逃しかもしれない。もしくは」と息子は他の人たちを見回した。
「誰かが置いたのかもしれない」
「まさか」
「なんで」
「俺が犯人になれば、相続金があがるしな」
「なんてことを」
「ひどーい」
容疑者たちはあれこれ言い争いを始めた。
私のような名探偵でも収拾することはお手上げだ。
その時ドアが開いて、警部が入ってきた。
「遅くなりました。ビデオの解析やら何やらいろいろ手間取りまして。
マンションの監視カメラを見ると、犯行時間に出入りしていたのは
息子のあなたです。
また近所のコンビニの防犯カメラ、銀行の防犯カメラにも
犯行時刻あなたが映っています」
息子は一瞬絶句したが、「たまたまだろう。
このマンションの監視カメラだが、非常口を使えば映らない」
「そうです。確かに、非常口を使えば映らない。
ただ向いのマンションでたまたま記念写真を撮って
それをフェイスブックにアップした人がいまして、
拡大したのがこの写真です」
警部が見せたのは拡大し、デジタル処理されている息子が父親を殴っている写真だった。
「匿名掲示板ではお祭り騒ぎになってますよ」
息子はがっくりと肩を落とした。
名探偵の私も。
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