loli-17

「さて、犯人は」

テーマ:ショートショート
 
「さて」と名探偵は容疑者たちを応接室に集めて言った。
床には大富豪の死体が横たわり、呼ばれた容疑者たちは赤ん坊を抱いた美人妻、浪人生の息子、大富豪の自堕落な兄、白髪の弁護士だった。

名探偵の顔見知りの警部もその場にいた。
「犯人はこの中にいます!」名探偵は断言した。
するとその時、赤ん坊が泣き出した。
「あらあら、ミクちゃん、お腹すいちゃったのね。今おっぱいあげますからねー」美人妻はそのまま出ていこうとした。

「ちょっと待ってください。今大事なところで」と名探偵。


引用元:「日曜は勝手にショートショート」


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「ミクちゃんも大事なところですのよ」美人妻は名探偵をにらみつけた。
「ここで我慢して性格がゆがんで犯罪者になったらあなた責任とれますの」
「いやぁ、それは」

「それともここで胸をはだけておっぱいをやれと」
「…すけべ」浪人生がぼそりと言った。
「じゃあ、おっぱいをあげて来てもいいですよ」名探偵は譲歩した。

「上から目線ね」美人妻はむっとしたように言った。
「私、絶対この場にいないといけないの? なにかしら、私が犯人とでもいうの」

名探偵は一瞬迷って、「いえ、あなたは犯人ではないので、この部屋を出てもいいです」
美人妻が怒った顔のまま、赤ん坊を抱えて部屋を出た。

「さて」と名探偵は仕切り直した。「この中に犯人が」
その時、火曜サスペンス劇場の音楽が鳴った。
兄の携帯のメロディだった。
「はい、もしもし」兄が大きな声で話し始めた。

「ミユユ~、どうしたんだぃー」兄はトロトロになった。
「ち、ちょっと待ってください」名探偵が言うのを無視して、会話しながら兄は部屋を出て行った。

「…」
「…出て行ったけど」
「まあ、あの人も犯人ではないので」名探偵はぼそりと言った。

「じゃあ、僕も出ていくよ」と息子。
「家庭教師のバイトがあるんだ」
「いや、これからが大事なところで」
「バイト料、出してくれる?」
「あなたも犯人ではないので、どうぞ」息子は走り去る。

「さて私も裁判がありますので」と最後に残った白髪の弁護士が言った。
「あの、でも」
「私が犯人だとでも」

「いえ、あなたも犯人ではありません」
「では、失礼、名探偵殿」白髪の弁護士は深々とお辞儀すると部屋を出ていった。

「…」
「…」
「容疑者が誰もいなくなりましたが…」と警部は不思議そうに言った。
「いえ、この中に犯人はいます」名探偵は断言した。

「この中って、えっ、私?私?」警部の声が裏返った。
「いえ、犯人は大富豪です」と名探偵。
「大富豪が殺人と見せかけて自殺したんです」

「はあ、自殺」警部は顔をしかめた。
「じゃあ、みんな集めなくても良かったわけですね。私も暇ではないのですが。一言自殺と言ってくれればすぐ終わったものを。あ、ちょっと処理することがあるので」警部は携帯を取り出しながら、部屋を出て行った。

死体と一緒に一人残された部屋で名探偵はため息をついた。
しかし大きく頭を振ると、背筋をしっかりと伸ばして、
「犯人は」と名探偵は大声を出すと、床の死体を指差した。

「お前だぁぁぁ!!!」


引用元:「日曜は勝手にショートショート」

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