1: :2013/09/04(水) 17:04:07.05 ID:
『読みました』報告の形式は自由です。
ただし当然ながら犯人、トリック、プロット等々の
メール欄以外でのネタバレは厳禁です。
 
【前スレ】
『読みました』報告・海外編
http://book.2ch.net/test/read.cgi/mystery/984541588/l50
『読みました』報告・海外編Part.2
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1072265453/l50
『読みました』報告・海外編Part.3
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1141910665/l50
『読みました』報告・海外編Part.4
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1222100201/l50
『読みました』報告・海外編Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1272900112/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.5
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1275659798/l50
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.6
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1284256057/
『読みました』報告・海外編(書斎厳禁)Part.7
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1353323940/l50

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3:2013/09/04(水) 17:14:04.38 ID:
「ビューティー・キラー3 悪心」チェルシー・ケイン(ヴィレッジブックス)

美貌の殺人鬼グレッチェンが脱走した!
折しも簡易トイレで惨殺体が発見され、施設で療養中だったアーチーはまたもグレッチェンとの対決を強いられることに……。

これ読む前不機嫌でした。だって作者は当初3部作の予定だったのに止めたって言うんですもの。うわこりゃいかんですよと。
いくら魅力的な悪役だろうとズルズル引き摺られて延命されるんじゃ興醒めです。何事も退き際が肝心なんですから。
しかぁし、読み終えて反省しました。これなら認めます。流石キングをして「ハンニバルレクター通りは~」と云わせただけのことはある作家でした。お薦めです。
4:2013/09/04(水) 17:35:11.57 ID:
「三本の緑の小壜」D・M・ディヴァイン(東京創元社)

ゴルフ場で少女の全裸死体が見つかった。容疑者とされた医師は崖から落ちて死亡。
しかし殺人は止まなかった。医師の弟の医師は兄の友達だった女性とも協力しつつ事件の謎に挑むのだが……。

いや傑作。ディヴァインは本当に上手いし巧い。ミステリーとしても一級品なのは勿論だが、登場人物たちの描写がまた秀逸!
この意地悪さ、無気力さ、偽善さ。こういうの書かせたら天下一品ラーメン屋だね、マジで。動機に纏わる部分なんて凄くリアルに感じられてしまった。
そして本作は少女がたくさん出てくるが彼女たちの心の動きも実に丁寧にさもありなんに描かれていてため息もの。シーリアとか、秀才の子とか。
更に謎解きに次ぐディヴァインの魅力であるロマンスもバッチリ。ラストに刑事が語りかけるセリフが印象的。だが歯医者(だっけ?)、テメーはダメだ。最後だけ良い役で終わろうとしやがって。

絶対にお薦めの作品。本格嫌いの傲爺にも読ませたい。
5:2013/09/04(水) 17:52:12.10 ID:
「希望の記憶」ウィリアム・K・クルーガー(講談社)

濡れ衣を着て逃亡中のコークは従姉妹に助けられる。そこで父が殺されその容疑者となっている少女と出会うコーク。
甥っ子と共に彼女を助けようとするのだが……。

このシリーズは完全にシリーズ読者のためのものになったと確信したね。書評家どもがさんざ騒いでいた前作のラストが実際はてんで大したことない稚拙なクリフハンガーだった
ことからも明らかだったが益々その意を強めた。クーガーがなんちゃらとかもあまりピンと来ないし。
本作最大のマイナスポイントは少女の描写。ディヴァインの次だから差が露骨に感じられて無惨だった。思春期でアイデンティティの確立に悩む少女の最大公約数がここにある。子供を馬鹿にしちゃいかん。
あと後半コークたちが彼女を一人で行かせるシーンがあるんだけど、命狙われてんのにアホかと思った。

おまけに解説が雑。よみうり読んでても思ったが、この人は人間は良いんだが書評の才能が不十分。
6:2013/09/04(水) 18:01:22.75 ID:
「十三時間前の未来」リチャード・ドイッチ(新潮社)

妻が殺される未来を変えるため過去へのタイムスリップを繰り返す男の話。

ま、面白かった。「時の地図」ぽいのかなと思ったがあれにはかなわない。
7:2013/09/04(水) 18:26:18.76 ID:
「地下室の殺人」アントニイ・バークリー(国書刊行会)

新婚夫婦の新居の地下室から女性の腐乱死体が発見される。
モーズビー警部の捜査とシェリンガム探偵の推理の果てに見えた真相とは――?

バークリー攻略作戦。やはり毒チョコスルーしたのは不味いかなあ。でも短編読んだからなあ。
本作は被害者探しや作中作がヒントになるという趣向の面白さが特徴。ラストの捻りのある展開も○。
しかしシェリンガムにロマンスは無いのかね?
8:2013/09/04(水) 18:55:40.83 ID:
「生、なお恐るべし」アーバン・ウェイト(新潮社)

麻薬の運び屋ハントはアクシデントから保安官に見つかり逃亡する。仕事に失敗したケジメをつけるため別の仕事を請け負うハントだが依頼した組織は既に彼を始末すべく殺し屋を差し向けていた。

読み甲斐のない小説。暗くて地味な描写と展開が延々続くだけ。これに比べれば「夜を希う」はスカスカでありがちとは言えちゃんとストーリーがあった。
コリータと同じでなまじ書く力はあるから読ませてしまうのがね……。それで何冊か書いちゃうんでしょうが、もう読みたくはないな。
9:2013/09/04(水) 20:29:17.06 ID:
「ハニートラップ探偵社」ラナ・シフロン(作品社)

探偵社でおとり捜査をしているイシーの息子マックスが庭で指を見つけた。しかし警察に届ける前になくしてしまうイシー。
彼女は公私共にトラブルを抱えながら恋に仕事に奮闘するのだった。

こんなもんを、それも単行本で出すなんて作品社の見識を疑う。読む価値ゼロ。
その理由は2つ。
1、ヒロインがクズ。
タイトル通り妻帯者を陥れて離婚を依頼人たる妻の有利にする所謂「別れさせ屋」をやっている糞ビッチ。そんなんで息子食わせて恥ずかしくねーのかと。
つか息子も想定外だったとか言ってたぽいし。それでいて他人には常識ないとか怒って見せるんだからどうしようもない。
2、ストーリーが古い。
独身女が仕事やら日常生活やらを愚痴りながら分かりやすいイケメンによろめいて……って10年遅れのブリジット・ジョーンズなんか今更誰が読むんだよ。
マーケティングもろくにしてなさそう。

百歩譲って文庫でコージーレーベルで出すべきだった。
10:2013/09/06(金) 17:42:17.85 ID:
「死の航海 上・下」ポール・ギャリスン(扶桑社)

スポーツトレーナーのジムは、富豪のウィルに雇われ、彼のヨットで大西洋に漕ぎ出した。
直前に足の不自由な恋人シャノンからプロポーズを断られ失意のジムは彼女の進めもあってこの旅を決意したのだった。
滑り出しは順調に見えた。しかし、不審船がヨットの前に現れる。どうやらウィルには心当たりがあるようなのだが……。

面白かったよ。コーンウェル=海のフランシスとは違う味だけど。どこがって? 忘れちゃった(笑)。とりあえずそこは期待しないでってことで。
ジムが前半はウィルと、後半はシャノンと組んで闘うという構造。つまりまず師匠と、次に独り立ちして弟子とというパターンでこの二段構えは読み応えがあっていい。
相思相愛にも関わらず一筋縄ではいかないジムとシャノンとの恋模様も重要なストーリーの構成要素たりえている。本来の格差が障害によって減るのを良しとしないという思い。

海や船の専門的な部分はまだ知らないし興味もないので評価は差し控える。
13:2013/09/12(木) 18:34:37.53 ID:
「死神の追跡者 (トム・マーロウの奇妙な事件簿)」クリス・プリーストリー(ポプラ社)

18世紀ロンドンを舞台に奇怪な殺人事件に巻き込まれた少年トムの冒険。

「モンタギューおじさんの怖い話」などとは違い、長編でシリーズ第一作。そしてエドガー賞受賞作。
さすがにシリーズものでバッドエンドには出来ないようで、こちらは子供向けに良い冒険ミステリーに仕上がっています。
大人が読むとホラー的にもミステリー的にも物足りなさを感じますがそれは仕方ないですね。
15:2013/09/14(土) 19:46:25.77 ID:
・マックス・アフォード「消失の密室」
扉の影に誰かいる、でなくして、正に「扉に隠れる」とか。
密室ネタだけで軽く仕上げた方がベストだったかと思う。
クライムノヴェル風な展開は、設定も無理やりで蛇足という感あり。
・ジョゼフ・カミングス「カスタネット、カナリア、それと殺人」
ジョン作品を想起させるフィルムねた。
だが、まあ、それだけの作とも言い得る。
探偵役が上院議員という社会的なステータス溢れる設定ながら、
いかにも(悪い方の意味で)アメリカン・ミステリな軽薄、饒舌なタッチは
好みではない感あり。
・ロバート・アーサー「ガラスの橋」
本作はある意味でジョンもビクーリなトンデモトリック(正に「飛んでも」な
要素あり)。「そんなん上手くゆくはずないやろ」と突っ込んだ時点で
野暮天なんでしょうな。狭義の密室ネタではなく人間消失ネタ。
・アーサー・ポージズ「インドダイヤの謎」
探偵エルパロディだが、茶化しているわけではなく、名探偵ぶりは健在。
これもおふざけなトンデモ、「あのカバを撃て!」でした(w
・サミュエル・ホプキンズ・アダムズ「飛んできた死」
思い切って「プテラノドン殺人事件」(誤解を招かないためには「プテラノドンの殺人」の方がモアベターかも(w )としてしまった方が、
本作の「売り」部分を端的に表しているかと思う。
フェアなフーダニットという面からは駄目駄目ながら、逆立ちにはマジ笑える。
プロファイルを読む限りでは、
非ミステリ作家(というかジャーナリスト)だし、まあ、こんなものでしょ。
21:2013/09/16(月) 21:04:39.13 ID:
「魔性の殺意」ジョン・ソール(扶桑社)

殺人鬼クレイヴンの死刑執行に立ち会った新聞記者アン。クレイヴンの事件は彼女が追い続けたネタだった。彼は死ぬ間際に不気味な言葉を遺す。
同じ頃遠く離れたシアトルではアンの夫グレンが命の危機に見舞われていた。

初ソールかな。まあネタはすぐ判るんだけどそこからジワジワ追い詰められていく過程を楽しむ感じかしら。
このネタと親和性が高いのはエロだと勝手に思うんだけど、そこは今一つだった気も。
あとインディアンの無駄遣い。
22:2013/09/16(月) 22:54:50.13 ID:
「非情の日」ジャック・ヒギンズ(早川書房)

イギリス情報部に所属していたサイモン・ヴォーンは密輸がバレてギリシャで投獄され、解放を条件にイギリス軍からの依頼を受けることに。
その内容はIRAに奪われた金塊を取り戻すことだった!

マシューの妻はアリス?
まあいつものヒギンズじゃない? 特に印象に残らずすまんこって。
23:2013/09/16(月) 23:53:04.82 ID:
「国会議事堂の死体」スタンリー・ハイランド(国書刊行会)

工事中のビッグ・ベンの壁の中から白骨が見つかった!
着衣から100年前の人物と推定され、若手議員ブライの呼びかけで議員たちが白骨のことを調べ始める。やがてその背景が明らかになっていく かに思われたが……。

これ一度200ページくらい読んで挫折したんだよね。つまんなくて。物語がないんだもの。調査レポート読んでるみたいで。
でもバークリーが真の傑作言うたらしいし評判はいいので再チャレンジした訳。

閑話休題。なるほど、こういう筋書きだったのね。これは確かにいい。評価する。プロットとしては見事。コペルニクス的転回と言ってもいい。いかにもバークリー好きそう。
しかしやっぱりストーリーなんだよ。そこがぽっかり抜けている。論理テキストみたいで傑作とは言えないわ。
解説のべた褒めもちょっと無理してない? この叢書の読者って黄金時代周辺の雰囲気も重視してるでそ。
24:2013/09/17(火) 00:12:46.92 ID:
コーネル・ウールリッチ「ホテル探偵ストライカー」を読む。
集英社文庫世界名探偵コレクションの1冊。
名だたる名探偵と並んで「何でやねん?」の声があがろうが、
まあ、シリーズキャラは無いウールリッチだが、どうしても入れたかったん
であろう。企画趣旨から出る疑問はともかくとして、収録作品はバラエティに
富んだ面白いものがチョイスされているかと思う。
それでは、絶賛好評中、収録作品全話講評逝ってみようか!!!
・「913号室の謎 自殺室」「913号室の謎 殺人室」
別な短編ではなく、第一部、第二部とすべき作。
初読はジュブナイル版だったが、そのスリリングな面白さに魅了された
のも懐かしい。都会派作家ウールリッチ、舞台は十八番といえるNYのホテルだが、
彼の作としては異例な怪奇探偵小説。トリックもジョン張りのトンデモぶり(釣竿、方向錯覚ネタ)である。
おなじみのセンチなウールリッチ節は抑制気味で、
前半は自殺が相次ぐ913号室の謎を強調してスリルを盛り上げ、
後半は一転、その謎解き物語へ。この語りの転換が実に見事や。
その容貌に関する描写は殆どないものの、
ホテルの最上階の部屋にひとり暮らし、小型ラジオ1台とSF&ホラーの
パルプマガジンを人生の唯一のよりどころとする主人公、
ホテル探偵ストライカーのキャラも、アキちゃんじゃないが、
「マジ、かっけー!」のだ。
もっと彼氏を主人公にした作を読んでみたかった気がする。
25:2013/09/17(火) 00:13:20.67 ID:
・「裏窓」
あのヒッチコック作品の原作である。
ただし、ヒロインは登場せず。
ミステリとしては、遅延反応からの推理、ここから明らかになる
死体処理法が読ませどころであり、面白くはあるのだが、
プロに疑問を抱かせないほどの仕上げってのは果たして可能だろうか?
とかは思うてしまう。
・「ガラスの目玉」
偶然、手に入れたガラスの目玉=義眼をめぐるた少年(刑事の息子)の
冒険物語。
終盤のアクション展開はまずまず読ませるものあり。
判明する真相は個人情報たれ流し時代には有り得たであろう凄惨なものだが、
親孝行物語の印象の方が強く、暗い感はない。
・「シンデレラとギャング」
こちらはギャングの追跡戦に巻き込まれた少女の一夜の冒険物語。
結果は悲惨だが、ラストのシンデレラねた(靴)の粋なオチもあって、
やはり暗い印象はない。
26:2013/09/17(火) 20:33:35.99 ID:
「救いの死」ミルワード・ケネディ(国書刊行会)

地方に住む裕福な独身貴族エイマーは探偵ごっこに興じて映画俳優の突然の引退の謎に迫るのだがそこには謎の殺人事件が絡んでいて……。

不快な気分を味わいたいならと薦められ確かに不快な気分になりました。
オカされた探偵役と言いますかね……。
その辺の味わいがメインであってミステリーとしては水準作? かな(淳の嫁)。

ただ構成が甘いなと思った。例えば迫られてたなら残って茶しないだろうとかね。
とまれスリープ村もいつか読もう。
27:2013/09/17(火) 20:57:26.85 ID:
「パーフェクト・ライフ 上・下」マイク・スチュアート(東京創元社)

何者かに追い詰められていく見習い精神科医スコット。殺人の濡れ衣まで着せられ決死の逃亡、そして真実を暴こうともがく!

巻き込まれ型好きなんで期待して読んだんですが、裏切りや濡れ衣も大好きなんで楽しめましたわ。
早々にオナニー好きの巨乳看護婦も出てくるし。
35:2013/09/18(水) 02:05:05.35 ID:
「蝋人形館の殺人」ジョン・ディクスン・カー(東京創元社)

セーヌ川に若い女性の死体が上がり、バンコランたちは彼女が最後に目撃されたという蝋人形館へ向かう。
しかし、彼らが不気味な館内で見たものは、サキュロスに抱かれた新たな女性の死体だった……。

読もうと思えば読めたのに完訳まで待つ俺カコヨス。
しかしダサい表紙だなあ、ジョーカーゲームかよ。媚びんなや。前の感じでいいのに。

さて本作は不可能犯罪という訳ではなく、密室も出てこない。もっと言うとトリックらしいトリックもない。
フーダニット一本に絞ったような作品と言える。そのための(本当に)フェアな伏線の張り方は面白い。
ただし動く蝋人形の謎やマスク着用の秘密クラブでの冒険など魅力的な要素はしっかりと盛り込まれており決して無機質な本格ではない。
またロマンス要素も乏しくそっち方面から見当を付けることも不可能。
故に読み応えのある本格になっているとも。

プラス動く蝋人形の謎やマスク着用の秘密クラブでの冒険など魅力的な、
そして特筆すべきはラスト。
最初は「これいるか?だって……」と思いつつページを繰るとギョギョギョ!?
しかしこれ矛盾してねーか?